第64回「ただ前へ進むだけではなく、改めて一歩上から俯瞰的に物事を見つめ直す」石川潤さん(Sompo Brokers (Thailand) Co., Ltd.)

□「前へ」だけではなく「上へ」

 「前へ」とよく大学時代に自分自身へ言い聞かせてきました。「本当に深刻な問題と直面した時は体当たりで乗り越えていくしかない。そのためにも常日頃から何事にも体当たりで進むよう心がけるべき。とにかく前へ進もう」という元明治大学ラグビー部監督の北島先生の考え方に基づくものです。私はラグビー部ではありませんでしたが明治大学の体育会に所属していたためか、高校時代の野球部で鍛えていただいたためか、精神論には馴染みもあり、この言葉の重要性は理解しているつもりです。

 ただ、社会人になり最近感じていることは少し異なります。前だけではなく、時には上へ立ち上り、物事を俯瞰して眺めることが必要だと感じています。高校の3年間、大学の4年間といった短いスパンではなく、サラリーマン人生は40年45年のスパンになり、単に「前へ」の精神だけでは立ち行かなくなることを痛感しています。5年10年のスパンで取り巻く環境が変われば会社内の環境も変わります。猪突猛進型で前に突き進む行動力と突破力は絶対に必要な要素だとは思いますが、環境変化や情勢に合わせて進む方向を修正できる能力も重要な要素の一つだと痛感しています。なぜなら、その力がなければ、気づかないまま目標やゴールとは遠い方向へ突き進んでしまうリスクがあるためです。


□社会人15年生という学生

 そのように感じていた矢先に藤岡先生と出会いました。タイ駐在としてバンコクへ赴任して日本の昭和時代を彷彿させるようなお客様との取引や懇親に明け暮れた最初の2年間でしたが、社会人15年目に自分の進むべき道について再考したいと奮起し、Sasin School of Management の門を叩いていました。入学に際しては、藤岡先生から推薦をいただき、またSasin Japan Centerの瀬古さんには面倒を見ていただき、大変お世話になった次第です。

 入学してから は、久々の学生気分を味わうことも多く、授業以外の時間ではクラスメートとの懇親も意識して取り組んでいました。ただ、コロナという見えない敵と向き合う学生生活でもあり、後半は対面で会うことが難しくなりました。そのような環境下ではありましたが、対面やオンライン授業など変わりゆく生活・環境の中でクラスの友人達にも多くを助けられながら、MBA資格を取得することが出来ました。藤岡先生、瀬古さん、ありがとうございました。


□紫藤会との関わり

 紫藤会との関わりは、まさにこれからだと感じています。これまでの交友関係をより一層広められる機会をいただいたと感じています。Sasin School of Management のカリキュラムを終えた今でも、一度始めたサラリーマン人生を辞めようとは考えていません。むしろ、現在務めている損害保険ジャパンの社長になるという元々の目標達成に向けて今後何をしていけば良いのか、ただ前へ進むだけではなく、改めて一歩上から俯瞰的に物事を見つめ直し、自身が取組むべきことは何なのかをしっかり検討させていただく良いタイミングだと感じています。例えば、昔は社長と言えば会社のトップでしたが、現在はCxO制度を敷く日系企業も出てきており、ポストや役割の在り方も変化しています。

 そのため、様々な経歴や背景をお持ちの紫藤会の皆様と今後おつきあいさせていただくことで、俯瞰的な視点での視野を一層広げていきたいと思いますし、自分自身も皆様へ何かしら貢献できる一員になりたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。




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